林業の裏方(営業•森林調査•設計•管理•事務)が使う山道具!

林業×裏方×山道具 基本編
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山で登山道以外を歩く!
山で森林の情報を手に入れたい!

じつは林業には裏方(営業•森林調査•設計•管理•事務)がいて、多くの山道具を使って、山を歩き調査•管理する仕事を行なっています。

なぜなら、荒廃した山に入る場合、山の情報を調査する場合、伐採中の山を管理する場合、それぞれ専門の道具が必要になります

私は林業の裏方に17年程度携わっており、国内4箇所の林業事業体で働いてきた。林業は土地に根ざした仕事であり、地域によって違いはあるが、本質的に仕事内容は同じである。

この記事では、林業の裏方が扱う山道具を紹介します。また次の記事と対になっています。

この記事は、主に以下の人々に役立つ知識になります。
・林業の裏方(森林施業プランナー•事務方•森林調査員等)の新人
・林業への就業•転職を考えている人
・山•林業の関係者または利用者…森林所有者、登山者、山菜採り、猟師、渓流釣り人等…

結論、林業の裏方が扱う山道具を知ることで、山の歩き方、山の情報取得方法が分かるようになります

林業の裏方の仕事はいかに山道具を使いこなすかだ!

カメラPC等が机に整然と置かれている写真

林業の裏方が山に入る理由は「森林調査(境界調査•立木調査•道と地形の調査•測量)」と「現場管理」です。そして山道具の使い道は、「山を歩く装備」と「森林を調査•管理する道具」になります。

山を歩く装備といえば登山を思い出します。
しかし、大きく違うのは道が無い事と、山が荒れている事です。下草はボサボサ、トゲトゲで、地面は急斜面でぬるぬる、岩がガラガラ、倒木が散乱、上方は枯木•枯れ枝なので装備は変わってきます。(ちょっと言い過ぎました)

また、目的が調査である場合は、高価な機械や多くの備品を持ち運び、上記環境で使用するので注意が必要です。目的が管理である場合は、伐倒•重機作業を行なっている環境で、道具を使用するので危険が伴います。

すなわち、林業の裏方は資料•書類のプロであると同時に、山を歩く能力、山を読み解き情報を引き出す能力、専門機械を操作する能力が必要なのです。

林業の裏方の必要山道具

gpsを持っている写真

それでは裏方の仕事内容(森林調査•管理)に応じて扱う山道具を説明していきます。

森林調査(境界調査•立木調査•道と地形の調査•測量)、管理で使う道具

山の服装

・スパイク地下足袋
スパイク足袋は急斜面•土•倒木•伐採木の上を歩くのに適しています。
足袋は足首が固定されてないので急斜面や土での踏ん張りが効き、軽いので動きやすく疲れづらい、脛まで長さがあるので石•土•枝葉が入りづらいです。
スパイクがつくと倒木や伐採木の上を移動する際、食い込んで滑らず、急斜面での踏ん張りはさらに強くなります。
丈夫さは無く木こりだと2〜3ヶ月、裏方だと半年〜1年で買い替えです。また岩の上だとスパイクで滑って歩きづらいです。
種類もあり、長さはこはぜ(布に縫い付けられた爪型の小さな留め具)の枚数4枚8枚10枚で決まり、枚数の多い方が密着し脱げづらい反面、脱ぐ時に面倒臭いです。またマジックテープ式の足袋、防水の足袋、先に鉄板の入った足袋もあります。

※普通の地下足袋•登山靴•ブーツを履く人もいますので好みだと思います。

・動きやすく頑丈な服
長袖•長ズボンが基本です。
山を歩くときは下草•低木をかき分けて入りますので、肌を露出してると傷だらけになり、また山には危険な虫や爬虫類もいますので刺されたり、噛まれたりします。
体を大きく動かすと袖口や首周りから枝葉が入ってくるので、締まりの良い服を選びましょう。
素材も重要で、頑丈すぎても暑い•汗が蒸発しない•動きづらい、柔らかすぎても、トゲが貫通してくる、破れる。筆者が最強だと思うのはコットン65%ポリエステル35%である。冬場のインナーはウール最強。
もカラフルな方が相手に気づかれやすくて良いです。現場作業中に、相手の存在に気づかず伐倒し、木に押し潰される事故は少なくないです。

・手袋
手の防護•汚れ防止のために使います。
山を歩くときは、いろいろな物を掴んで登り降りします。また地面に手をついた際、虫や爬虫類に攻撃されることもあります。
調査時には、多くの道具•資料を使い、書くことも多いので薄くて多少頑丈なもの(ナイロン等)を使います。しかもすぐ破れるので安価なものをまとめて買います。
管理時には、現場作業の道具を扱うこともあるので、頑丈(革)なものを使います。

・ヘルメット
落石•枯れ枝落下防止
現場作業では必須です。
調査で被らない人は多いです。しかし落石•枯れ枝の落下は意外と多いので、いざという時に備えて被る習慣をつけましょう。筆者は過去に、落石が頭に当たった人を見たことがあります。

・ザック、腰袋
荷物が多い時、測量するときはザックが必要です。20〜30ℓあれば事足ります。
通常の調査では腰袋の使用頻度が高いです。山では両手の使用が非常に多いので、すぐ取り出せてすぐしまえるのは重要です。慣れない人はよく、低木•枝に引っ掛けたり急斜面の移動で、腰袋から物を落とします。

携帯電話

非常事態に備えて
どこで電波が入るかは確認しておきましょう。山では何が起こるか分かりません。

水筒

非常事態に備えて
水分は非常に重要です。夏場は特に2ℓは必要。少し山に入るつもりでも、山では何が起こるか分かりません。

応急処置用品(ファーストエイドキット、雨合羽、蚊取り線香、ヒル忌避剤、ポイズンリムーバー、エピペン)

緊急事態に備えてこれらは必要に応じて準備しましょう。あまり持ち過ぎると重いです。

・ファーストエイドキット
小さいものもあるし、簡易的なもので良いのです。

・雨合羽
基本雨だと山に入りませんが、雨上がりは必要です。下草•低木•枝葉が水浸しだし、転ぶと泥だらけになります。

・蚊取り線香
夏場必須です。ものすごい量の蚊やブヨがいます。腰からぶら下げる携帯防虫器もあるし、森林専用の効果が強い蚊取り線香もあります。筆者はブヨアレルギーで、顔に刺されて腫れ上がり、目が開けられなくなる時があります。

・ヒルよけスプレー
ヒルがいる地域で使用しましょう。価格が高いのと、使ってもきりがないので塩水で作る人もいます。あまり気にならない筆者は手で掴んで投げます。

・ポイズンリムーバー(※ハチやヘビに噛まれた際、毒液を吸い出す吸引器)
すぐ使用しないと効果がないので、ハチやヘビが活発な時期に携帯しましょう。

・エピペン(※アナフィラキシー症状を緩和する注射)
ハチアレルギーがある人は必ず携帯しましょう。何度か刺されている人は、命を落とす可能性もあります。病院で用意してもらいます。

刃物(ナタ、ノコギリ)

下草•低木が繁茂して歩けない時に必要に応じ使用
特に測量時は見通しが必要なので必需品です。主な使用は移動中なので、鞘に入れ腰からぶら下げます。
・ナタ
片刃で小ぶりのものを選びましょう。直径5cm以下の低木•枝が切れるサイズで十分です。厚く長いナタは太い木も簡単に切れる反面、重い。薄く短いナタは軽い反面、なかなか切れない。筆者は刃渡り18cmの片刃を使っています。

・ノコギリ
軽量で目が細かすぎないものを選びましょう。直径5cm~10cmの低木を切る時使用します。目が細かいと、綺麗に切れる反面、時間がかかる。目が粗いと、早く切れる反面、仕上がりが粗い。筆者は庭木用で刃が交換可能なものを使っています。

ナタ•ノコギリは、用途によっても、地域によっても、人の好みによっても、使うものが違います。実際に手に取って自分に合ったものを購入しましょう。

カラーテープ2~4色

山に印をする時に使用
裏方が一番使う道具かもしれません。主な使用用途は境界の木、作業道開設の予定ルート、伐採する木、その他目立たせたいもの(杭•障害物•プロットの位置•補修する場所等)に巻きます。巻きまくるとごっちゃになるので、用途に応じ色を変え巻きます。

山で目立つテープの色はピンク•オレンジ•青•白•赤•黄色の順番でしょうか。

テープの種類のおすすめは‎マーキングテープ(ポリ塩化ビニル)です。どんな結び方にしても、数年後にちぎれ、山の景観を損ねません。スズランテープ(ポリエチレン)や布テープは木が成長すると食い込むので、必ずネクタイ結び等の結び方にしましょう。

文房具(メモ帳、シャーペン、色ペン、マジック、チョーク)

調査中に紙•テープ•杭•立木に書く時使用
地図に直接書く場合は色がある方が見やすいし、テープや杭に書く場合はマジックだし、木に書く場合はチョークかスプレーになります。

GPS

(※現在地を指し示し、軌跡(今まで歩いたルートが記録される)を保存できる機械)

調査で現在地を確認する時に使用
林業だとスマホ型で森林計画図が入っているものを使います。もし専用のものがなければスマホアプリの等高線図が見れるものでも構いません。

メリットは調査に集中でき、仕事の効率が良い事です。
現在地・軌跡が分かるという事は、確実に目的地に着ける、遭難防止はもちろんのことですが、どこを調査したか・これからどこを調査すれば良いかが、ひと目でわかります。
※地図だと現在地を見失った時点で地図の意味はないので、常に地図を見る必要があります。

デメリットは地図を読み解く能力•体(主に視覚)で山の位置を確認する能力が身に付かない。
これは仕事のスピードの問題です。山の構造を理解するためには、等高線図の解読能力と、いかに山を見るかが重要です。

特に山の新人の方、GPS依存症にならないよう注意です。

カメラ

現地を記録するために使用
スマホでも構いませんが、林業では大量に写真を撮るし、落としたり濡れたり汚れたりするので、防水•防塵•耐衝撃•軽量なカメラが良いです。
写真を多く撮る理由は、第3者への説明•山を記憶できない自分のための記録•補助金の申請で提出が必要等があります。

立木調査で使う道具

輪尺(りんじゃく)•ダイヤメーター

(※立木の直径を測る道具)

立木の直径は、木の成長具合を判断、材積を求める際に必要

・輪尺(りんじゃく)
立木の地上1.2m付近を挟んで、回しながら一番細いところの目盛を読みます。簡単に、速く測る事ができるが、かさばる。昔ながらの木製から軽量なアルミ製がある。

・ダイヤメーター
立木の地上1.2m付近に巻き付けて測ります。巻きつける手間で、時間はかかるが、小型で軽量。2mメジャーのような形状。

立木直径が40cmを超えてくると輪尺では挟めなくなり、ダイヤメーターを使います。

樹高測定器(トゥルーパルス360)

(※立木の樹高を測る道具)

立木の樹高は、木の成長具合を判断、材積を求める際に必要

種類は様々ありますが、ここではトゥルーパルス360を紹介します。測量でも使える機械なので使い勝手が良いです。対象とする木の目線の位置と根元と一番高い枝にレーザーをあてると樹高を自動計算し測定してくれます。

釣竿5.65m

プロット調査(※)の範囲を決めるときに使用
※ プロット調査とは一定の面積の標準地を抽出し、調査結果を面積比によって林分全体の結果とみなす方法。(例)100㎡に木が10本立っていたら、1ha(10,000㎡)には木が1,000本立っているだろうとする方法。

釣竿5.65mである理由
5.65m×5.65m×3.14=100㎡だからである。ちょうど良い長さの釣竿が売ってないので手の長さを加えたりしながら調整します。

道と地形の調査で使う道具

傾斜測定器

(※傾斜を測る道具)

地山の傾斜は、現場作業への影響が大きく、特に作業道を開設する際に必要。

角度計、傾斜計、勾配計よび名は多いが、山の傾斜にポール等長い棒を合わせ、その上に載せ、水泡を合わせると角度が表示される。

メジャー

道幅•延長を測るのに使用
30〜50mあれば十分

ポール

(※2mに伸縮する赤白のポール)

道幅•地山勾配(山の傾斜)を測る時に使用、また写真撮影でスケールを分かりやすくする目的で立てる
メジャーのように2人で使う必要もなく、素早く使え、地面に刺したり寝かせたりと便利。地山勾配は作業道を開設する前•後に、2本のポールを十時にあてるポール横断によって測定する。

測量で使う道具

測量道具(トゥルーパルス360、反射板付きポール、GPS付PDA、測量杭、予備電池)

測量をするために使用
アナログコンパス測量、デジタルコンパス測量、GPS測量等で機器が違う。ここでは、ここ10年位の主流であるデジタルコンパス測量の必要機器他を紹介する。

・トゥルーパルス360(※コンパスと傾斜センサーを内蔵したレーザー距離計)
測量で必要な方位角、傾斜角、距離がワンボタンで測定できる。また、フィルターをつければ反射板のみに反応するので、障害物が多くても測量ができる

・反射板付きポール(※2mに伸縮する赤白のポールの上部に、四角い反射板をつけたもの)
トゥルーパルス360から発射されるレーダーを反射させる。

・GPS付きPDA(※GPS付きの小型PC)
トゥルーパルス360からBluetoothでデータを送れば、方位角•傾斜角•距離が記録され、測量図面がその場で作成•確認できる。

デジタルコンパス測量は、アナログコンパス測量と比べ作業効率が大幅に改善される反面、精度面はやや劣る。また高価で繊細な機械のため、衝撃等取り扱いに多少気を遣う。

・測量杭(※測点として地面に打つ杭)
多い時だと山に150本程度は背負っていくので、軽くて嵩張らないものが良い。木製からプラスチック製まであり値段は50〜100円のものを使うことが多いが、森林組合等、測量業務が多い事業体は手作りするなど色々工夫している。

・予備電池•モバイルバッテリー
必ず持ったか確認。測量中に電池切れにでもなってしまえば、遠い現場だと半日無駄になります。

チェック項目にチェックを入れる写真

山道具を忘れて山に入ると、調査精度が落ち何度も山に入ることになるので、段取りは非常に重要です!

まとめ

林業の裏方が扱う多くの山道具を理解いただけたでしょうか?

林業の裏方が扱う山道具は次!

森林調査(境界調査•立木調査•道と地形の調査•測量)、管理で使う道具
山の服装(スパイク地下足袋、動きやすく頑丈な服、手袋、ヘルメット、ザック、腰袋)
携帯
水筒
応急処置用品(ファーストエイドキット、雨合羽、蚊取り線香、ヒル忌避剤、ポイズンリムーバー、エピペン)
刃物(ナタ、ノコギリ)
カラーテープ2~4色
文房具(メモ帳、シャーペン、色ペン、マジック、チョーク)
GPS
カメラ
立木調査で使う道具
輪尺(りんじゃく)•ダイヤメーター
樹高測定器(トゥルーパルス360)
釣竿5.65m
道と地形の調査で使う道具
傾斜測定器
メジャー
ポール
測量で使う道具
測量道具(トゥルーパルス360、反射板付きポール、GPS付PDA、測量杭、予備電池)

重要な山道具はなるべく書くようにはしたつもりですが、実はまだまだ用途によって使う山道具があります。

道具を使い込んでいくと、体に道具が染み込んでいって、道具がなくても数値がわかるような体験があったりします。やはり林業は面白い!

もし、あなたが林業の裏方が使う山道具に興味を持って、林業の裏方の仕事、資料書類も知りたいと思う方は⬇︎

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